ソムリエは何をしゃべっているのか?

首をかしげながら、小難しい顔をして
「輝きのある麦わら色、ディスクは中程度、涙はゆっくり、粘性はうんたらかんたら…」

目を半開きにしながら、ワイングラスに鼻を突っ込んで、
「青リンゴやメロンの香り。バターのような香りそれからトーストなんちゃらかんちゃら…」

一口飲んでしゃべりだす、
「果実味が豊かで、アルコールがやや強く感じられる。ハチミツっぽさもあり、ミネラルがどうのこうの…」

どうでしょう?この説明、ソムリエっぽくきこえますか?
ドラマでワイン通が飲んだ時のワンシーンにもありそうですね(笑)
(私はドラマまったく観ませんけども)

正直なにしゃべってんのかよく分からなくないですか???


ご安心を。まったく理解不要です。
これはワイン業界関係者同士に古くから伝わる言語なのです。
冗談でなく。

ワインの勉強をしている人々にとっては、こういった表現を使うことで、より正確に、単語の数以上にワインの本質を相手に端的に伝えることができるようになっています。そのために特化した言語なのです。(実際は日本語のように聞こえますけど)
嘘みたいなほんとの話。

例えば上の例文内の“アルコールが強く感じられ”という部分、
このセンテンスがあるだけで、関係者は
温かい産地のワインか、温暖な年のワインの話だな。温暖な年だった産地は…。
いや、もしや酒精強化ワイン?
などと、ある程度対象がどこの産地のどんなワインであるか?を絞っていくことができます。
ちなみに“バターのような香り”からは、乳酸発酵という手法を。“輝きのある”からは、酸度が高いのかな、ということは冷涼な産地か、品種の特徴か?という推測をたてていきます。

ソムリエすげーってなりました?(笑)

ところが、いちワインラバーが上述のようなワイン言語を覚える必要はみじんもなく、
もしソムリエに分りづらい表現をされるようなことがあれば、「わからないので、わかりやすくお願いします」と伝えて頂いて大丈夫です。

素敵なソムリエはお客様の理解度に合わせた説明が上手なものです。

こうした表現ができないからといって自分はワインが飲めない、選べない。
と、思ってほしくないのです。ワインは飲み手を選びません。

ワインはもっと自由に気軽に飲みましょ♪ しゅう